オープンシステムの経緯と考え方
  オープンシステムの考え方を説明します。

≪素朴な疑問≫

そこで生活する人、働く人、遊ぶ人。
泣いたり笑ったり感動したり、怒ったり安らいだり頑張ったりする人。
建築とは本来このような人たちが主役となって建てられなければならないはずです。

ところが現実はどうでしょう?
主役となるべき人が片隅に追いやられています。
これは本来あるべき姿なのだろうか?いやいやそんな筈はない。
この疑問からオープンシステムはスタートしました。

建築を依頼する人(施主)が主役となり、本当に望むものを手に入れるためには
今までのような建築業界独特の考え方や仕組みから脱却し
新しい考え方による新しい仕組みに拠って計画し建てられなければならない筈です。

そのために私たち建築士はどのように変わらなければならないのか
またどのようなことが出来るのだろうか?
建築士は一つの回答にたどりつきました。

≪オープンシステムの理念≫

施主の要望を実現しよう!その為に建築士がいる。
これが前述の回答であり、オープンシステムの理念です。

これを実現するため
オープンシステムの建築士は、施主の良きパートナーとなって
専門的な知識と技術を駆使しながら建築を進めていきます。
計画から完成まで、さらに完成後のことも含めて
施主にとってどのような選択が最善かを常に考えながら情報を
全てオープンにして建築を進めていきます。

≪コンセプト創り≫

建築とはあらためて生活を考えることに他なりません。
建築を造るということは、住宅ならばそこで生活を始める人たちが
家族とは何か、生きるとは何かをあらためて考え直すことであり
店舗や工場ならばそこで働く人たちが、自分たちの仕事とは何か
世の中にとってどんな意味を持つのかをあらためて考えることです。
つまりコンセプト創りです。

≪施主が主役≫

施主自身があくまでも主体者となって計画が進んでいかなければ
本当の意味で良い建築は実現できません。
私たちオープンシステムの建築士は、建築を依頼する人の身になって
責任を負い、配慮し、共に考えるパートナーとして行動します。

そのために専門工事業者との利害関係を裁ち切り、自由な立場で発想し
結論を導くことを貫いています。

施主が主役となり計画、設計、工事発注、工事監理に積極的に参加することができます。
今までの建築は自分の建物にもかかわらず、専門家に任せ
専門家が結論を下して、出来上がった結果だけを依頼主が受け取った
という受動的な立場となっていたのです。

施主が積極的に建築に参加し、自ら専門家と共に結論を出すためには
金額を含めた全ての情報が公開されなければなりません。

オープンシステムはまさしくこのことを実現するために考え出された手法なのです。
その根底には、業者のために施主がいるのではなく、施主のために工事業者がいる
という思想に貫かれているから、仕組みそのものまで変えることが可能となったのです。

≪施主と建築士の契約関係≫

オープンシステムの建築士事務所は、施主と業務委託契約を結んで
建築を進めていきます。
業務の内容は、

・建築コンセプトのまとめ
・間取りや外観などの基本設計細部にわたる実施設計
・業種毎の専門工事会社からの見積徴収と分
・専門工事会社の選定
・分割工事請負契約
・工事工程表や支払表の作成
・工事中の工程の調整と施工状況のチェック

等が有ります。
その内容につき、施主や専門工事業者の人たちと連携しながら
建築を進めていきます。
私たちオープンシステムの建築士事務所は
・請負契約ではなく業務委託契約であること、
・しかも実際の工事はゼネコンやハウスメーカーなどに一括で任せずに
 依頼主から直接各専門工事会社に分割発注すること
を大原則としています。
だからこそ透明性と自由性を確保しながら、建築を進めていくことが可能となるのです。

≪計画は自由に、個性的に≫

企業の理論で計画を進めると、どうしてもこれを売り込みたい
ここの部分は絶対に依頼者には隠しておきたい、ということが前提で話が進みます。
それはたとえ一級建築士であっても、その人の置かれている立場によって
どのように振る舞うかが決まります。

ハウスメーカーの社員であるならば、依頼主の利益と会社の利益は相反します。
会社の方針に沿って話を進めざるを得ないのはやむを得ません。
悲しいかなそれが現在の建築業界の仕組みであり
隠れている部分が大きければ大きい程、ある意味で利益も大きいのです。

私たちオープンシステムの建築士は、施工業者とは利害が発生しない立場で
業務をします。
ここが最大の強みであり、依頼主の身になって自由に情報を選択し伝え
個性を発揮した建築を創ることが可能なのです。

基本設計は模型やCGで、施主が参加して建築士と共に結論を出す
といっても設計図書だけでは設計の内容が依頼者にうまく伝わりません。
話が一方通行になることを恐れるのです。

そこで私たちオープンシステムの建築士は、
模型あるいはCG(コンピューターグラフィックス)を駆使して
依頼者に基本設計の内容がよく分かるように、最善の努力をしています。
建築はコンセプト創りと基本設計でその後の骨格がほぼ決定付けられるため
最も重要な部分と考えているからです。

今までの経験からしても、施主にとって図面ではよく理解できないことが多いようです。
よって模型を見て頂いたとたんに俄然目が輝きだし、意見や感想がどんどん出てきます。
実は私たち建築士にとっても、模型やCGで確認することによって
あらためて発見する事も随分あるのです。

≪実施設計は緻密に詳細に≫

オープンシステムの場合、見積に参加してくる業者は基本的に自由参加です。
しかも工務店などの元請け会社に工事全体を全て一括で見積もらせるのではなく
業種毎の専門工事会社に見積に参加してもらいます。

その為には、どこが行っても同じ条件で見積ができる設計図書でなければなりません。
たとえば建具工事なら、その建具はどんなデザインなのか、材料はどういうものか
厚さはいくらか、ガラスはどうか、金物は、という具合に
各部の詳細が設計図面に明記されていなければ、建具屋さんは正確な見積を出すことができません。
もし図面が不十分なら、専門工事業者は自分に都合の良い見積をするか
万が一のために余裕を見た見積になってしまうのです。
確認申請や住宅金融公庫が通ればよい、というだけの図面では
正確な見積はできないのです。
当然、工事が始まってからも現場は混乱し、建物の品質にも影響してきます。

≪見積の価格は透明に≫

オープンシステムでは、それぞれの専門工事会社から提出された見積書は
そのまま依頼者に公開されます。
それを業種毎に整理して、内容、技術力、価格が検討されます。
過去の類似建物と比較したり、オープンシステムの全国の事例と比較することもできます。
また見積書の提出と共に、専門工事業者から設計内容に対する改善提案も受付け
施主も交えて協議します。

施工現場における知恵と知識は専門工事業者の人たちが最も豊富だからです。
このようなことが可能なのも、オープンシステムの建築士事務所は
施工業者と利害関係を持たない中立な立場で業務を遂行できるからです。
つまり、施主に対して、隠さなければならない必要が何も無いからできることなのです。

≪工事は分割発注で≫

専門工事業者(普通は下請さんといっていますが)は大工さん、
基礎屋さん、サッシ屋さん、内装屋さん、というような業者です。
実際の工事現場においては、実際に作業を行うのはこの人たちなのです。
住宅の場合は15社から20社くらい
ビルなどの大きな工事だと30社から40社もの専門工事業者の参加が必要になります。

オープンシステムでは施主と、これら専門工事業者が直接工事請負契約を交わします。
したがって契約のときには一社ずつ
「塗装工事の**です。どうかよろしくお願いします。」
というような挨拶が交わされます。
施工における最初のコミュニケーションの場です。

今までの常識では考えられないことかもしれません。
建築工事の場合は必ず元請会社がいて、工事全体を一括で契約し、下請へ、孫請へと
外注に出されてきたのです。

≪競争原理が働くように≫

工事現場毎に下請というかたちで専門工事業者を寄せ集めて
建物を完成させるのが従来の建設のあり方です。
他の業種との大きな違いはこの部分にあります。
いわゆる多重下請構造といわれる所以です。

通常元請会社は下請会社に対して系列を作っています。
下請会、協力会といわれるものです。

工事か発生すると下請会や協力会の業者が見積もり、元請会社に提出します。
そして元請会社が工事を受注すると、下請け会や協力会の業者に
仕事が廻ってくるという仕組みです。

オープンシステムの場合、専門工事業者は各業種毎に
自由に見積に参加することができます。
採用されるためには技術力、工事実績や価格面で勝ち残らなければなりません。
価格優位性も技術力の一部です。
馴れ合いでは受注できません。
おのずと技術力を磨くための努力を欠かせなくなるのです。

≪工事工程表と支払リスト≫

見積の徴収、工事業者の選定等の作業と並行して工事工程表を作成します。
つまり、どの業種がどのような順番で工事を進めていくのかという計画表のことです。
この工事工程表は工事に参加する全ての専門工事会社に渡され
オープンシステムの建築士と連携を取りながら工事が進捗していきます。

オーケストラに例えるなら、指揮者とそれぞれの楽器の演奏者のような関係です。
また、この工事工程表をもとに工事代金支払リストが作成します。
施主はこの支払リストをもとに、各専門工事業者に直接支払います。
基本的には出来高払いといって、その月に出来た工事に対して
翌月の決められた日に銀行振込を行います。
前渡金とかを支払う必要は無く、リスク回避にもなります。

≪第三者の立場で工事を監理≫

建物を建てる位置を決定し、基礎工事、仮設足場、建方、屋根工事というように
それぞれの専門工事会社が順番に現場に入ってきて
建物はしだいに出来上がっていきます。
その一つ一つの工事を私たちオープンシステムの建築士は
図面通りに工事がなされているか、出来映えはどうかをチェックします。
施工間違いや不備な箇所があると、指摘して手直しをしていきます。
これを工事監理といいます。

オープンシステムの建築士は、施主から業務を委託されて工事監理を行います。
したがって、第三者の立場で自由に公平に工事監理をすることができます。
つまり建築現場の審判員です。

ところが、設計も施工も全て一括で請け負った場合(住宅はこの方式が最も多い)は
どうでしょうか?
野球の試合に例えれば、巨人、阪神戦の主審を巨人の選手がつとめるようなものです。
大部分の住宅建築はこのように、審判員不在のまま建築されているのです。

≪いかがでしたか?≫

オープンシステムのことを、何となく分かって頂けたでしょうか? 
オープンシステムは新しい考え方の新しい方式です。
身近に具体例を目にしないと、うまくイメージが浮かんでこないかもしれません。
それに、建築業界の仕組みって、複雑です。

しかし、アメリカやヨーロッパ、アジアでもそうなのですが
外国の人が日本で建築する場合
日本の建築業界のことがよく理解出来ないようです。
設計はサービスとか、原価(それぞれの下請けに支払う金額)と必要経費が
明確でないとか...。

最近は、外資系の企業が日本で建築をする場合
母国から建築の専門家を呼んで、マネジメントをしてもらいながら建築をする
といったケースも現れ出しているのです。
そのほうが価格もずっと安くなって、良い建築が出来た、という報告もあります。
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