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日本海新聞　2001年2月27日
　 日本海新聞社

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建築コスト公開を提案

　「企業や専門家の立場で書かれた本はどうかすると独り善がりや宣伝になるが、この本には客の本当に知りたいことが書いてある。これまでの体制から抜け出したい企業にも何かのメッセージになっている」
　建築主に見えにくかった建築コストを公開した家づくりを提案する建築家。工務店－専門工事業者といった従来の方式を「多重下請け構造」と指摘し、建築主のパートナーとして建築家が専門業者に直接発注して見積りをオープンにする仕組みの普及に努めている。
　提案を始めて10年。賛同する建築家の輪は広がった。2月に出版した著書「価格の見える家づくり」も初版2万冊を売り切ったが、「トントンと順調に来たわけではない」。工務店や住宅メーカーと距離を置いた仕組みのため、仕事が途切れたこともある。
　「この方式はだれもが思っていること。広めたいと思ったのは意義があると考えたから」と言う。「客の立場になるならば、建築業界と利害関係を絶たなければいけない。この方法を理想と思っても経営面で脱却できるか悩んでいる設計事務所は多い。その中で今の仲間は勇気を持って参加している」
　少年のころに読んだ本が忘れられない。1950年代、アメリカで起きたバスボイコット運動。黒人の婦人が肌の色で座る席を差別されたことに異議を唱えた。彼女はバスから降ろされたが、その行動はやがて市民の間で大きなうねりとなっていく。「ハーバード大学を卒業したような人がやったのではなく、なんでもない一人のおばさんがやったことがすごい。私もなんでもない田舎の設計事務所のおやじです」。
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