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朝日新聞 2003年5月5日 〜静岡版〜
  家の「分離発注」広がる・・・「手間かけ個性ある家を」・・・

建築主の要望に合う専門業者を工事ごとに選択
家の「分離発注」広がる
 
        「手間かけ個性ある家を」
       ----- 金の流れ見え、コスト減 -----
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 個人が住宅を建てる際、「分離発注方式」という新しい建築方法を選ぶ例が県内でも増えつつある。下請け構造の中で不透明になりがちな金の流れを鮮明にでき、建築コストの削減につながるという。従来の方式と何が異なり、家を建てる人にどんなメリットをもたらすのか。

 家を建てる時は住宅メーカーや工務店が元請けとなり、内装、設備などの工事を下請けや関連会社に発注する「一括請負方式」が一般的だ。これに対し分離発注方式は、まず建築主が建築士と業務委託契約を結ぶ。建築士は建築主の要望を聞き、基礎、屋根、電気など工事ごとに複数の会社から見積もりを取り、価格交渉をして発注先を選ぶ。工事中の現場監督なども担当する。

 建築主は建築士に手数料を支払うが、各工事が専門業者への直接発注のうえ、見積もり時点で各業者間の競争原理も働くため、最終的な建築費は一括請負方式より1〜2割低く抑えられるという。また、建築士と打ち合わせる段階で「この木材を使いたい」「バルコニーを広くしたい」などの好みも反映できる。

 分離発注方式が全国的に広がったのは、鳥取県米子市の建築士山中省吾さん(49)の存在が大きい。山中さんは同方式を「オープンシステム」と名付け、98年に建築士らで構成するネットワーク会社「オープンネット」を設立。「当初は受託数が伸びず苦労した」と言うが、仕組みを解説する書籍を出版するなど地道に活動を続けた。

 現在、同ネットに加盟する設計事務所は発足時の16社から258社に増え、同方式による着工数も昨年は350件と着実に伸び続けている。

 以前は、「工事中に業者が倒産したり、完成後に欠陥が見つかったりした場合に責任の所在がはっきりしない」などという同方式の弱点も指摘されていたが、損害保険会社と協力し補償制度をつくったことでクリアした。山中さんは「1社では解決できない問題も、オープンネットの組織を生かして乗り越えられる。業界の常識を覆すような動きになれば、建築主が主体となる家づくりの時代が来る」と話す。

 県内でも、10社がオープンネットに加盟している。その一つ、静岡市清水入江南町「計設計事務所」の望月計利さん(43)は、以前から「分離発注は世界で一般的な方式。なぜ日本に存在しないのか」と疑問を抱いていたという。建設会社での勤務経験があり、工事現場の監督も慣れている。同ネットの存在を知り、99年に加盟した。

 望月さんは「住宅メーカーや工務店の建築は、ノウハウもあるし工事もしっかりしている」と、大手の手法を全面否定はしない。ただ、「金の流れは確かにいい加減な所がある」と見る。

 相談に訪れた人に対し「分離発注方式では、建築主と建築士が何度も話し合う。手間や時間が必要」との説明も欠かさない。「それでも、という人にはぜひ勧めたい。原価がはっきり見えるし、個性も出せる。新たな選択肢として分離発注方式が育つことは、必ず建築主へのメリットにつながると思う」
 
 
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