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新建ハウジング 2003年9月10日
  「きれいな空気の家に住みたい」をかなえたスウェーデン仕様の家/(株)誠設計事務所(長野県長野市)

「きれいな空気の家に住みたい」
     をかなえたスウェーデン仕様の家
「きれいな空気の家に住みたい」という住まい手のニーズに、スウェーデンの住宅仕様で応えたのは、(株)誠設計事務所(長野県長野市・湯本弘行所長)。この家に住むTさんは「守られているという感じのする家」と評価する。

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 叶ス設計事務所の湯本所長は、長野県の清涼な空気環境をそのまま室内でも実現させようと、性能重視の設計に取り組む。
 「きれいな空気」の家(通称「森の家」)は、そうした性能重視に基づく換気計画設計がもたらしたもの。
 住まい手のTさんは、「お化粧の匂いさえだめなほど匂いに敏感だという。そのため、あらゆる住宅の空気質を体感するため、遠くは神戸まで足を運び、検証にこだわった。
 24時間換気と謳っているモデルハウスでも、しばらくいると頭が痛くなったりと、なかなか納得のいく家づくりには出会えなかった。
 唯一「この空気は違うと感じたのが、湯本所長の設計による独自のスウェーデン仕様住宅。
 24時間計画換気は、第3種(フレクト社(スウェーデン製))を採用。吸気と排気のバランスは「きちんと計画しないと空気のたまり場、よどみの場ができてしまう」(湯本所長)ので、それぞれの建物で独自に対応し、高さや位置を注意して設計する。
 とくに注意する点は「入る量と出る量のバランスチェックと空間に合わせた機械能力をきちんと把握すること」という。
 C値(機密性能)は0.6cu/u。断熱材は天井400o(セルロースファイバー)、壁240o(GW)、床下断熱材は220o(GW)を充填。
「1年に1度の神棚の掃除が驚くほどきれいなままでびっくりしている」(Tさん)というほど、ホコリの少ない性能を充実した。
 全体の輸入材の割合は、外装材、トラス、野地板、床、天井、パネル、サッシ、ドア、瓦、刻んだ構造材も含め、約35%。木製サッシはトリプルガラスで、腕で強くたたいてもまったく割れず、「セキュリティー上、安心」(Tさん)というもの。
 1階と2階の温度差は、お正月時に3〜4日留守をしたとき、わずか0.5度。梅雨時には除湿が必要だが、夏のクーラー運転はほとんど必要ない。
 平均外気温マイナス0.2〜1.8度の冬季は、太陽光によるダイレクトゲイン(ムクバーチ材の床に蓄熱して暖まる)や、薪ストーブ1台(20帖用、米国・ハートストーン社製を併用。
 朝10時から点火し、その夜の7、8時ころに落す。この方法で、次の朝まで保温効果が保てるという。
 床材はムクバーチ材を3層に貼ったもので「傷がつけば削れる」(湯本社長)もの。外装材はムクパイン材で、表面がざらざらして塗料が塗りやすく、裏は表面をなめらかにして、水が流れやすく工夫されている。
 湯本所長は、かつて家は「お金を貯めてつくるひとがほとんどで、命がけでつくるものだった」。しかし、いまは「お金を借りてつくるひとがほとんど。家は消費材という感覚になってしまった」と嘆く。
 「耐用年数のない日本の家づくりに、長い間疑問を持っていた」という。「備えるべき性能のない家は愛着が持てず、引き継がれない」というのが湯本所長の主張だ。
 最近は「数十ヵ所の住宅を見て、家づくりに混乱するユーザーも多く、「本当にいい家がどういうものかを知るために、あまりにも苦労しているのに驚く」ことから、地元で家づくりセミナーを年6回開催。地域の信頼を得ている。
 Tさんは「きれいな空気のこの家では、外の不要な音にも惑わされない。訪ねてくる友人たちも、快適な居心地の良さに時間を忘れ、なかなか帰らない」と苦笑する。
 「何より、秋の花粉症が軽くなった。どんなひとも、こうした環境の住宅で暮らしてほしい」と
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