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『日本経済新聞』〜2003年4月23日
  値決め革命〜ネット奔流1

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時・場所選ばず安値調達

〜分離発注でさらに安く〜




 インターネットを通じた電子商取引は商品の売り手と買い手の結びつきを大きく変えた。価格交渉に付き物だった時間と空間の制約がなくなり、パソコンを通じて入札価格を競り下げる「逆オークション」など、従来の商慣習に縛られない新たな値決め方式が広がり始めた。一方でネット取引の限界も見えてきた。

 「また安いビッド(入札価格)が出たぞ」。東京都内の段ボール箱メーカーで、パソコン画面をのぞき込む一団からどよめきが上がった。大手物流会社への段ボールの大量納入を狙い、目に見えないライバルが売値をさ
らに引き下げたのだ。インターネットによる資材売り込みの場面である。

 デフレ経済が続くなか、ネット調達はコストを少しでも抑えたい企業に福音となった。システム構築のディーコープ(東京・中央)は段ボール、ポリ袋といったモノやオフィス移転などサービスを逆オークションにかける手助けをしている。購入企業は1〜5割の経費削減を達成した。

 ネットは売買双方の時間への感覚も変えた。情報技術(IT)コンサルティング会社、インフォ
・アベニュー(東京・港)の吉沢清司常務は「『時間があればもっと安く買えたはず』というバイヤー(調達担当)の不満を解消した」と解説する。

 十分な時間を費やせば、売り手との交渉で安値を引き出すだけでなく、最適な売り手を見つけることも可能。現実には新製品の発売時期などデッドラインがあり、資材調達に割く時間は圧縮されがちだ。だがネット取引を利用すれば、短時間に多数の売り手を競わせることができる。

 大手スーパーのイオンは2000年秋から商品や備品のネット調達を導入している。世界中の企業が相手で、欧米企業から仕入れた実績もある。2002年度は44億円のコストを削減、2003年度は削減額を約三倍に伸ばす目標だ。

 そのイオンが「今後の課題」(沢田彰浩B2B推進部部長)として挙げるのは「分離発注」だ。例えばエビを調達する際は「トレーに載せてラップしたエビ」という、モノとサービスを合わせた状態を買うことになる。これを「エビ」「トレー」「ラップ」「こん包作業」といった要素に分解。それぞれネット取引にかけて一層の安値を探す手法を検討している。

 こうした分離発注への取り組みは、建築の分野で既に出ている。例えば建設コンサルティングのオープンネット(鳥取県米子市)。住宅はほとんどの人にとって最大の買い物であるにもかかわらず「1坪(3.3平方b)いくら」という丼勘定≠ェまかり通ってきた。同社はそこに分離発注の考えを取り入れ、古い慣行に風穴を開けた。

 住宅に必要な建材は木材や石材、合成樹皮製品など多岐にわたる。工事も仮設や基礎工事に始まって内装、外装、電気工事まで多様だ。これらの取引を個別の建材や工事ごとに分解し、最適購買を目指せば建築費は抑えられるはず−というのが出発点だった。実際、分離発注の導入で建築費は施主からハウスメーカーが一括して請け負う従来の方法より1−2割安くなったという。施主の細かな要望に対応できる点も売り物だ。

 同社の山中省吾社長が目指すのは「価格の見える家づくり」。賛同する全国の設計事務所は同社のネット上で建材の調達もする。ネットという道具は分離発注の考え方にぴたりとはまっている。
掲載者 staff@open-net.co.jp
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