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『中日新聞』〜2003年5月19日
  住宅の価格を透明に〜住環境研究所代表 藤田昌弘氏

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住宅の価格を透明に

〜住環境研究所代表 藤田昌弘氏〜


個人住宅建築の新手法として、建築主が建築士を介して専門業者と直接契約する「分離発注方式」の家づくりが注目を浴びている。同方式に取り組む建築士の全国組織「オープンシステム全国ネットワーク会議」静岡地区幹事の1級建築士、藤田昌弘住環境研究所代表=浜松市有玉台=に同方式が持つ意義などを聞いた。

 −分離発注方式とはどのような手法ですか。

 日本では、住宅メーカーや工務店と契約し、そのメーカーが元請けとなって下請けや関連会社に発注する「一括請負方式」が一般的な住宅の建築方式となっている。しかし、これでは建設代金が不透明で、建設が業者任せになってしまい、建築コストを削減する中で最悪の場合、欠陥住宅となるケースもある。これに対し、分離発注方式は、建築主が基礎や電気などの専門業者と直接契約し、建築するシステム。建築主から業務委託を受けた建築士が間に立ち、設計業務や専門工事業者の選定、見積もり分析、工事内容の検査をしながら建てていく。建築士は現場監督の役割を果たしながら、建築主の代理人として監理し、家を完成させて建築主に引き渡す。欧米では分離発注方式が一般的となっている。

 −分離発注方式のメリットは。

 住宅の価格が透明になる。工事は専門業者に直接発注され、そこに競争原理が生まれるため、結果として建築コストの低減につながる。専門工事会社は元請けになるため、専門家意識を呼び覚ますことにもつながるほか、専業の設計事務所の設計なので精度の高い設計ができる。

 −ところで、いま住宅の分離発注方式が注目され始めたのはなぜですか。

 鳥取県米子市の建築士山中省吾さんが中心になって全国に呼びかけを始めた。山中さんが発起人となり一九九八年に建築士らで構成する「オープンネット株式会社」を立ち上げた。現在、分離発注方式の理念に賛同し、オープンネットに加盟する設計事務所は二百五十にのぼっている。インターネットで結ぶ建築家のネットワークとしてオープンシステム全国ネットワーク会議がある。

 −分離発注方式は定着すると思いますか。

 現在の家づくりのあり方に不満を抱えている人は多い。補償面でも、損害保険会社と組んでオープンネット補償共済をつくり、補償制度を確立した。インフォームドコンセント(説明のうえでの同意)の対話型設計と住まい手参加の家づくりは、現代に最も適した手法であり、新たな選択肢として分離発注方式は受け入れられていくと思う。分離発注方式で建てた家の完成見学会があるので、興味のある人は一度見てほしい。

■略歴■ ふじた・まさひろ 1956年浜松市生まれ。工学院大学建築学科卒。82年に1級建築士となり、90年建築事務所の住環境研究所を設立。00年にオープンシステム全国ネットワーク会議に加盟。95年静岡県住まいの文化賞最優秀県知事賞、02年木の家デザイン最優秀賞など受賞。
掲載者 fitz@mail.wbs.ne.jp
関連HP (有)住環境研究所




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