オープンシステム関連情報
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『Roof & Roofing(屋根と屋根材)』2004春号No.34
  「施主主導の建築革命」累計で1000棟超す

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「施主主導の建築革命」累計で1000棟超す

工務店抜き、完全分離発注

施主が専門工事業と契約


 工務店や住宅メーカーを介さない「顧客(施主)主導の家づくり」「価格の見える家づくり」を旗印とした「建築設計事務所のCM/分離発注」方式“オープンシステム”の実績が増えてきた。

 オープンシステムは「施主主導の建築革命」をうたう。そのシステムの理念に賛同した建築設計事務所でつくるオープンシステムネットワーク会議(運営はオープンネット梶£ケ取県米子市、0859・37・3343)は現在、全国各地で研修会を開催中。

 3月5日の関東甲信越ブロック(東京会場)の研修会では、山中省吾代表(オープンネット社長)、会員の本間貴史氏(竃{間総合計画=仙台市)が講演した。

設計事務所281、年400棟

 オープンシステムは、ゼネコンや工務店抜きの完全分離発注型の建築方式。施主と各種専門工事業者が直接、請負い契約を結ぶ。この方式は、欧米でCM(コンストラクション・マネジメント)として定着している。

 山中省吾代表によると、分離発注方式が全国的に広がり始めたのは98年ごろから。山中代表がオープンシステムを始めたのは92年。98年時点で参加する設計事務所はわずか16社であったが、現在は281社に急増している。施工数は累計で1000棟を超し、昨年は386棟の実績で、年400棟ベースも間近だ。

専門工事業者は元請け

 オープンシステムは、住宅、マンション、店舗、工場、リフォームなど、すべての建物に対応する。施主は設計事務所と建築士業務委託契約を交わし、業務の進行に応じて、段階的に報酬を支払う。また、施主は各藩門工事業者ともそれぞれ分書け工事請負契約を結び、仕事の出来高に応じて支払う。

 設計事務所はデザイン、積算し、専門工事業者を入札にかけるが、「専門工事業者はすべて元請け、下請けは存在せず。施主と設計者、施工者はパートナー」という位置づけだ。工務店への一括発注方式と大きく違う点は、専門工事業者の完成後の「満足感、達成感」という。

 施主が積極的に建築に参加することにより、施主の要望の実現、ムダな費用の削減、施工品質の向上、価格透明性の確保をめざす。

 完成後の保証やメンテナンスは、設計事務所、施工した専門工事業者が共に対処し、工事中や完成後の倒産、事故には「オープンシステム建物補償共済会」で対応する。

設計監理業務量は2倍

 課題は、施主の委託を受けた設計事務所が実際の業務の大部分を担うことになるため、業務量が一般的な設計監理業務の約2倍になること。

 一級建築士一人あたり年間5棟が最大で、これも技量と熟練度によって大きく違ってくる。一棟あたりの業務量は80〜100人/日、業務報酬科は150u(45坪)の住宅で400〜500万円、これも業務の密度によって大きく違う。

 おもな営業は、山中代表の去R中設計の場合、完成見学会(随時)や説明会(月1回)など。顧客からは電話やメールでのアプローチが大半という。

施主の期待は「安くなる」

 本間氏は、実例をもとにオープンシステムの業務進行を紹介し、最後にそのメリット、デメリットを指摘した。とくに「オープンシステムは、工務店の代わりではなく、設計監理の延長線上として捉えるべき」と強調した。

 同社の実際の設計は、工務店への一括発注、オープンシステムがそれぞれ半々。

 通常の設計業務の流れは、建築相談→建築士業務委託契約→基本設計→美施設計→業者選定→工事監理→竣工引き渡し→アフターメンテナンス。オープンシステムが大きく違う点は、業者選定や工事監理の仕事量が膨大になること。

 また、顧客は「CM方式は安くなる」という期待感が大きく、「その期待を裏切るわけにはいかない」

 コストコントロールのポイントは積算。数量も自社で算出し、単価は実質単価を採用。台風時の養生など、予期せぬ出費はリスク調整費として計上している。

 平均の分離分割数は24〜25工種。施主との契約調印式では、「業者さんに元請け意識を持ってもらいたいこともあって、全員集合」

仕事の“達成感”が全く違う

 オープンシステムのメリットとして、@工事原価を知ることができる、Aデザインがしやすくなる、Bすべての工事に深く関与できる、Cとにかく一括発注方式とは「業者さんの、俺達が建てたという仕事の“達成感”がまったく違う」ことを挙げた。

 一方のデメリットは、@事務作業、監理作業が倍以上に増える、A設計監理責任がより重く感じられる、B専門工事業者の下請け意識が抜けない。元請け専門工事業の確立、啓蒙活動が必要なこと。

 研修参加者に「一括発注と区別できない人は、オープンシステムをしてはいけない」とクギを刺した。現在、CM支援ソフトを開発中という。


『建築事務所のピュアCM/分離発注』研修会 第2クール
〜小規模建物におけるCMの実践[2]〜

 CMに携わる建築琴の資質向上を目的とする研修会。オープンネット会員が交代で講師にあたる。CM実践者による現場密着の事例発表を主眼とし、現状や将来への展望、課題などを参加者と考える。

 第1部は、業務の流れに則した具体的なCM手法についての講義、第2部は実務報告。対象は、CMに取り組んでいる建築家、興味を持っている建築関係者など。

 第8回北海道B(5/13)/第9回近畿B(5/14)/第10回東海北陸B(5/19)/第11回関東甲信越B(5/20)/第12回中四国B(5/28)/第13回東北B(5/28)/第14回九州B6/4) B=ブロック

 申込・間合先 オープンネット
 http://www.open-net.jp/
 TEL:0859-37-3343



「価格の見える家づくり」増補改訂版
著者:山中省吾(オープンネット椛纒\)

「オープンシステム」を実践するオープンネット会員の最新事例43件をはじめ、この新しい家つくりの手法について、発想から現状、課題などを具体的に紹介している。

 A5判並製248頁(カラー15頁)、1575円(本体1500円+税)、潟Rスモリバティ社発行。
掲載者 staff@open-net.co.jp
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